《精神の頂上ヒマラヤへ》第4話
- 中山康直

- 4月10日
- 読了時間: 2分
~シヴァの世界の人間国宝と山と海の結び~

途絶える寸前だった伝統
ネパールの友人が資料を見せて、この村を訪れた理由を伝えると、村の長は資料に写っている職人さんたちを紹介してくれた。職人さんといっても、今やおじいちゃん、おばあちゃん。高齢化の波はヒマラヤの奥地にまで到達し、「ロイヤルネパール」の伝統も途絶える寸前となっていたことを知った。
「間に合った……」
静かな喜びがヒマラヤを駆け抜けていく。そして、おじいちゃんおばあちゃんとなった職人さんたちに、地球最高の麻を作り続けてきた長年の功績に対して心から敬意を表した。
職人さんたちはとても喜んで当時の自慢話を始め、ほかの村人も一緒になって大いに盛り上がった。

麻のゴッドハンドに包まれる
おばあちゃんのひとりは、自分が写っている資料を見て、当時を思い出して懐かしみ、感動して涙いっぱいになっていた。そして、「ありがとう! またいつでも来て下さい!」と、私の手を強く握りしめてくれた。
このグランドマザーの手は、80年にわたって麻を包み込んできた「麻の手」であり、文字どおり「ゴットハンド(GoddessHand)」だ。まるで麻を包み込むように、その偉大なゴットハンドに手を握ってもらえたこと――それは、この上なき光栄なことだった。

資料に載っている職人さんの中には、高齢で他界されていた方もおられたが、出会えた職人さん一人ひとりに麻心(まごころ)から感謝を届けることが叶った。
新しい「ヤマト生み」が果たされる時
シヴァの世界では、この誇り高き職人さんたちは人間国宝のようなもの。生きているうちに伝説の職人さんたちに会えたことの感動で、ふたたび涙の雫がヒマラヤにこぼれ落ちた。今まで何度となくネパールに上がらせていただいたが、地球最高の麻の長老たちに出会える最後のチャンスだったと思う。あらためて、この奇蹟を噛み締めた。
そして、またこの地に来ることを約束して、辰年の巡礼は巳年へと結ばれたのだ。「ロイヤルネパール」の伝統の復活をかけて、日本の志が紡がれた最高のひとときだった。

「最も深い海のたもとから最も高い山のふもとへ」と結ばれた約束は、山と海が繋がっている道理をこの時代に蘇らせ、新しいヤマト生みが果たされる時が開かれるだろう。
ネパールの友人はこう言った!
「来ないとわからないよ」
「来たら誰でもわかるよ」
(了)
